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解説

残業代の計算方法

残業代は「1時間あたりの賃金」「割増率」「残業時間」の3つの数字で決まります。4つのステップで計算方法を確認し、月給・時給・日給、深夜残業、固定残業代などケース別の計算例を見ていきましょう。

労働基準法第37条は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働、法定休日の労働、深夜の労働に対して、通常の賃金に一定の割増率を上乗せした残業手当を支払うよう定めています。次の4ステップで、どんな給与明細でも残業代を計算・確認できます。

  1. 11時間あたりの賃金を求める月給制は(基本給+手当)÷ 月平均所定労働時間、日給制は日給 ÷ 1日の所定労働時間、時給制は時給そのものです。家族手当・通勤手当・住宅手当・賞与などは除外します。
  2. 2残業時間を種類ごとに分ける法定内残業、時間外労働(60時間まで・60時間超)、深夜労働(22時〜翌5時)、法定休日労働に分けます。時間は原則1分単位で数えます。
  3. 3割増率を掛ける時間外は1.25倍、月60時間超は1.5倍、法定休日は1.35倍、深夜は0.25倍を加算、法定内残業は1.00倍です。
  4. 4合計して端数を処理する種類ごとの金額を合計します。1円未満の端数は50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げて処理できます。

計算式

  • 月平均所定労働時間(365日 − 年間休日) × 1日の所定労働時間 ÷ 12
  • 1時間あたりの賃金(月給制)(基本給 + 手当) ÷ 月平均所定労働時間
  • 1時間あたりの賃金(日給制)日給 ÷ 1日の所定労働時間
  • 残業代1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間

計算例

月給:     基本給25万円 + 役職手当2万円
所定:     年間休日120日・1日8時間 → 163.33時間
時給換算: 270,000円 ÷ 163.33時間  ≒ 1,653円
時間外:   1,653円 × 1.25 × 20時間 = 41,325円
深夜:     1,653円 × 0.25 × 4時間  = 1,653円
合計:     41,325円 + 1,653円     = 42,978円

ケース別

残業手当の計算方法(ケース別)

普通残業手当の計算方法

深夜・休日以外の通常の時間外労働に対する手当です。1日8時間・週40時間を超えた時間に、1時間あたりの賃金の1.25倍を掛けます。

1,500円 × 1.25 × 15時間 = 28,125円計算ツールで計算する →

深夜残業手当の計算方法

22時〜翌5時の時間外労働は、時間外25%+深夜25%で1.5倍です。月60時間超の部分が深夜に及ぶと1.75倍になります。

1,500円 × 1.5 × 5時間 = 11,250円計算ツールで計算する →

固定残業手当(定額残業手当)の計算方法

固定残業代を除いた給与から時給を出し、固定額が何時間分に当たるかを確認。実際の残業代が上回った分は差額支給が必要です。

45,000円 ÷ (1,500円 × 1.25) = 24時間分計算ツールで計算する →

パートの残業手当の計算方法

所定を超えても8時間以内は法定内残業で1.00倍、8時間・週40時間を超えた時間は1.25倍。時給がそのまま計算の基礎になります。

1,100円 × 2時間 + 1,100円 × 1.25 × 6時間 = 10,450円計算ツールで計算する →

日給制の残業手当の計算方法

日給を1日の所定労働時間で割って1時間あたりの賃金を出し、割増率と残業時間を掛けます。

12,000円 ÷ 8時間 × 1.25 × 10時間 = 18,750円計算ツールで計算する →

休日出勤の残業手当の計算方法

法定休日の労働は1.35倍。休日に8時間を超えて働いても時間外割増は重なりませんが、深夜に及べば1.6倍です。会社独自の休日の出勤は、週40時間超の部分が1.25倍になります。

1,500円 × 1.35 × 8時間 = 16,200円計算ツールで計算する →

1時間あたりの賃金の求め方

残業代の計算で最も間違いやすいのが、1時間あたりの賃金(残業単価)です。労働基準法施行規則第19条により、給与形態ごとに次のように計算します。

  • 時給制:時給そのもの
  • 日給制:日給 ÷ 1日の所定労働時間(日によって異なる場合は1週間の平均)
  • 週給制:週給 ÷ 1週間の所定労働時間
  • 月給制:月給 ÷ 月平均所定労働時間
  • 出来高払制(歩合給):歩合給の総額 ÷ その月の総労働時間(割増分の0.25倍のみ支払う)

月給制の「月給」には、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時の賃金・賞与を除くすべての賃金を含めます。月平均所定労働時間は「(365日 − 年間休日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12」で求めます。

残業時間の数え方と端数処理

残業時間は、原則として1分単位で数えます。1日ごとに15分未満や30分未満を切り捨てる処理は違法です。認められている端数処理は次のとおりです(昭和63年3月14日基発第150号)。

  • 1か月の時間外・休日・深夜労働の合計時間に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる
  • 1時間あたりの賃金や割増賃金に1円未満の端数がある場合、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる
  • 1か月の割増賃金の総額に1円未満の端数がある場合も、同様に処理する

残業代の計算でよくある間違い

  • 基本給だけで計算し、役職手当・資格手当などを算定基礎に含めていない
  • 固定残業代を含めた金額で時給換算している、または超過分の差額を支払っていない
  • 1日ごとの残業時間を15分・30分単位で切り捨てている
  • 月60時間を超えた部分も1.25倍のままで計算している
  • 深夜の割増(0.25倍)を時間外割増に上乗せしていない
  • 「管理職だから」と、実態が管理監督者に当たらない人に残業代を払っていない

給与明細の残業代に不安がある場合は、残業代計算ツールで実際の金額を計算し、支給額と比べてみてください。割増率の条件や上限規制は残業代のルール(労働基準法)で詳しく解説しています。

よくある質問

残業代の計算方法に関するよくある質問

残業代の計算方法や割増率について、よく寄せられる質問にお答えします。

残業代はどうやって計算しますか?

残業代は「1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間」で計算します。月給制なら、基本給と算定基礎に含める手当の合計を月平均所定労働時間で割って1時間あたりの賃金を出します。そこに時間外労働は1.25倍、月60時間を超えた部分は1.5倍、法定休日労働は1.35倍を掛け、深夜(22時〜翌5時)の時間には0.25倍を加算します。例えば時給換算1,600円で時間外労働が20時間なら、1,600円 × 1.25 × 20時間 = 40,000円です。

残業代計算ツールの使い方を教えてください

給与形態(月給・時給・日給)を選び、月給なら基本給・手当・1日の所定労働時間・年間休日数を入力します。次に、その月の時間外労働時間、深夜労働時間、法定休日労働時間を入力すると、1時間あたりの賃金、割増率ごとの内訳、残業代の合計が自動で表示されます。「計算式を見る」を開けば、実際の数字を当てはめた計算過程を確認できます。

月給制の残業代は基本給だけで計算しますか?

基本給だけではありません。役職手当、資格手当、職務手当、営業手当など、毎月決まって支払われる手当は原則として算定基礎に含めます。算定基礎から除外できるのは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)の7種類だけです。ただし、家族数や実費に関係なく一律に支給される家族手当・住宅手当などは除外できません。

時給のパート・アルバイトの残業代はどう計算しますか?

パートやアルバイトも正社員と同じく、1日8時間・週40時間を超えた時間が時間外労働となり、時給 × 1.25 以上の残業手当が必要です。一方、所定労働時間(例えば1日5時間)を超えても8時間以内の「法定内残業」は、就業規則に定めがなければ時給 × 1.00 の支払いで足ります。時給1,200円で時間外労働が10時間なら、1,200円 × 1.25 × 10時間 = 15,000円です。

日給制の残業代の計算方法は?

日給制では「日給 ÷ 1日の所定労働時間」で1時間あたりの賃金を出します。日によって所定労働時間が異なる場合は、1週間の平均所定労働時間で割ります。日給12,000円・所定8時間なら1時間あたり1,500円となり、時間外労働1時間あたりの残業代は1,500円 × 1.25 = 1,875円です。

深夜残業手当はどう計算しますか?

22時から翌5時までの深夜に時間外労働をした場合、時間外の25%と深夜の25%を合わせて50%以上の割増(1.5倍)になります。月60時間を超える時間外労働が深夜に及ぶと75%(1.75倍)、法定休日の深夜労働は60%(1.6倍)です。このツールでは深夜に働いた時間を「深夜労働時間」に入力すると、0.25倍の深夜割増が自動で加算されます。

固定残業代(みなし残業代)の計算方法と不足額の確認方法は?

まず固定残業代を除いた基本給等から1時間あたりの賃金を出し、「固定残業代 ÷(1時間あたりの賃金 × 1.25)」で何時間分の残業代に相当するかを確認します。実際の残業代が固定残業代を上回った場合、その差額は追加で支払われなければなりません。例えば1時間あたり1,600円、固定残業代40,000円なら20時間分で、実際に28時間残業すれば8時間分の16,000円が追加で支払われるべき金額です。

あなたの残業代、正しく支払われていますか?

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